お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

「千花のことはつい、いじめたくなるらしい」


千花の拗ねた顔を見たくなる。いい大人がずいぶんと屈折しているものだと、修矢は我ながら情けない思いもあった。


「ひ、ひどいです……! 私は修矢さんのおもちゃなんですか?」


千花の声はかすかに震えていた。修矢にいきなり抱きしめられて困惑しているのだろう。

(どうやら俺の恋愛スキルは小学生レベルらしい。好きな子をいじめることで気持ちをわかってもらおうとするなんて、どれだけ幼稚なんだよ)

パジャマ越しに千花の鼓動が速く打っていることに気づき、修矢まで緊張してくる。


「目を覚ましたら千花がなにも掛けずにベッドに突っ伏して寝ていたから、俺のベッドに引き入れた。それだけのことだ。それとも病人の俺に、千花を抱いたまま階段を下りろって?」


またもや出てきた意地悪な言葉の数々。そんな言い方をしなくてもいいだろうにと思いながら、裏腹な口先はどうにも止まらない。

(……本当に情けないな、俺)

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