お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
同時に修矢の顔にも優しい笑みが浮かび、千花は目が釘付けになる。初めて見た、修矢のこぼれるような笑顔だった。
(あんな顔、するんだ……)
子供に向ける無邪気な笑顔と優しい声色が、千花の心をくすぐる。秘密の宝物をこっそり見つけたような気がして、千花の胸が高鳴った。
「手術がんばろうな」
もう一度拳を突き合わせ、ひとりで病室へ帰る男の子を修矢が見送る。そうして再び歩き始めようとした修矢は、一歩足を出したところで千花に気づいた。
「……千花?」
「こんにちは、修矢さん」
小走りで修矢に近づくと、千花の足音に合わせるかのように大きな弁当箱がカタカタと音を立てた。
「お弁当を作ってみたんです。よかったらどうかと思って」
そう言って千花が弁当箱を持ち上げてみせると、修矢は戸惑うような表情を浮かべた。