お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

「……あ、ごめんなさい、連絡もせずに勝手に来たりして」


修矢の仕事は、病気の子供が相手。忙しいのは十分知っていたはずなのに、頼まれもしないのに弁当を作るなんてとんだお節介だ。千花が後悔に襲われる。

十二時になったからと言って、昼休憩に入れるとは限らないだろう。修矢と少しでも話せたらと思って来たが、それは千花のわがままだ。


「お仕事のお邪魔でしたよね。すみません」


素早く頭を下げて来た道を引き返そうとした千花の腕を修矢が掴む。


「待て。帰る気か?」
「お仕事が忙しそうですし」
「ちょうど昼飯に行こうと思っていたんだ」


修矢は千花の腕を掴んだままいきなり歩き始めたかと思えば、千花から弁当箱を取り上げた。


「えっ、でも……」
「こっちにとっておきの場所がある」


いつになく修矢の声が弾んでいるのは千花の気のせいか。

< 164 / 271 >

この作品をシェア

pagetop