お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
千花が連れ出されたのは、小児科病棟の前にある中庭だった。敷き詰められた芝生の上に真っ赤なベンチがいくつか並び、動物を模したアルミ製のオブジェが、午後の光を浴びて艶めいていた。病院という閉塞された空間の中、解放感に溢れて気持ちがいい。
その中のひとつのベンチに座った修矢が、隣のスペースをトンと叩く。そこへ座れということらしい。
「失礼します」
なんとなくそう断ってから座り、千花は修矢との間に大きな弁当箱を置いた。
「ずいぶんとでかいな」
「そうなんです。あれもこれもと作っているうちにいっぱいになっちゃって」
張り切りすぎたみたいで恥ずかしい。
(そういえば、こうして誰かにお弁当を作ってあげたのは初めてだよね)
千花はそんなことにも気づいて照れくさかった。
和風中心のメニューにした弁当は、両手の上に乗るくらいの大きさの二段重。筑前煮にきんぴらごぼう。ヘルシーなものだけでは物足りないかと思い、定番のから揚げも入れてある。
修矢は千花から割り箸を手渡されると、「いただきます」と真っ先に唐揚げを頬張った。