お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

『おい、修矢、早く開けてくれ』


修矢の友達なのだろうか。それにしては修矢は浮かない顔だ。大きなため息まで吐き、しぶしぶといった様子でセキュリティの解除をした。


「どなたですか?」
「……兄貴」


修矢はボソッと答えながら髪をくしゃくしゃにしてかき上げた。
仕事でイタリアに行っているという一樹が帰って来たらしい。

結婚前に挨拶が間に合ってよかった。これで式にも参列してもらえるだろう。心を弾ませる千花の前で、修矢はなぜか浮かない顔をしていた。


「どうしたんですか?」


そう尋ねたそばから、もう一度インターフォンが鳴る。一樹が部屋の前に到着したようだ。
玄関へ向かおうとした千花の手を掴み、修矢が引き留める。

どうして?と千花が疑問に思っているうちに、修矢はひとりで玄関へ向かった。
大きな足音と賑やかな空気が一緒にリビングへやってくる。

手を前で組み、かしこまった状態でいる千花のところへ、いよいよ兄・一樹が登場した。

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