お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
あとは式を挙げてしまえば、一樹は手出しできなくなる。修矢が結婚式を早く済ませたい理由は、そこにあったのだ。
「日本に帰って来てみれば、修矢が十日後に結婚するって言うじゃないか。しかも、相手は俺が見合いすることになっていた千花さん。どういうこと?ってなるよね、普通は」
「……だろうね」
「それで、ここに乗り込んできたってわけ。さぁて、最初から順序立てて話してもらおうか」
一樹はなにもない部屋のフローリングにあぐらをかいて座った。とことん話し合おうというつもりらしい。
真一文字に口を引き結んでいた修矢もその前に腰を下ろし、観念して話し始めた。
「兄貴に彼女を渡したくなかった」
一樹が急きょ長期に亘って日本を離れることになり、修矢は自分が一樹の代わりになることを思いつく。父である智弘に直談判し、なんとか見合いにこぎつけたのだ。
「いつも俺の陰に隠れていた修矢が、そんな大それたことをするとはね」
ひとつ歳上の兄・一樹は、幼い頃から努力せずともなんでもできる子供だった。