お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

いや、もしかしたら陰で努力をしていたのかもしれないが、常に成績は学年トップ。運動神経も万能で、中学高校と生徒会長を務めるほどの人望ももっていた。

そんな兄の陰に隠れていたのは事実。修矢も成績はいつも上位で運動神経も良い方だったが、兄に比べると若干劣る。おまけに寡黙な性質で、一樹のように前へ前へと出るタイプとは違っていた。

久城総合病院の次期院長。そう言われながら育ってきた兄より目立つことはなかった。
それでも幼い頃から憧れてきた医師を目指し、兄の背中を追うようにして同じ医学部へ入学。

ところが、一樹は大学を中退し、空間デザインを学ぶべく専門学校へ入りなおした。突然、まったく違う畑へ舵を切ったのだ。

戸惑ったのは、ほかでもなく修矢。それまでは自分の意思だけで外科医になることを目指していたのが、いきなり次期院長という期待を一心に背負うことになってしまったのだから。

それでも根が真面目な修矢は、その期待に応えようと必死になる。研修医を終えて単身アメリカへ渡ったのは、最先端の医療技術を学ぶためではもちろんあるが、一樹を越えたいという対抗意識が根底にはあった。


「飼い犬に手を噛まれたような気持ちってこういうことを言うのかもしれないな」
「そういうつもりじゃなかったんだ」

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