お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
今回の一件は、一樹に対して一矢報いたいという修矢の気持ちがあったからではない。純粋に、千花を渡したくなかったから。
「これでも俺、修矢のことをかわいがってきたつもりだからな」
それは修矢も十分わかっていることだ。
一樹に虐げられたことは今まで一度もない。それどころか一樹は、いつも優しい兄で居続けてくれた。兄弟げんかですら記憶にないほどだ。
だからこそ、今回のことは一樹に言えなかった。
「……ごめん、本当に悪かった」
修矢は心から頭を下げた。
「本当に悪いと思ってる?」
「思ってる」
今さらになって修矢は、一樹にひと言伝えるべきだったという後悔に襲われていた。
結局は、問題を先延ばしにしただけだった。一生隠し立てできることではないのだから。
「それじゃ、今から俺と代わってくれないか?」
「……なに?」