お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
千花との結婚をということか。
修矢の身体が強張る。慕ってきた兄の縁談を無断で横取りしたのは修矢の方。これまで一樹からなにかを強く求められたことは一度もなかった。
その一樹が、前の前で修矢に返してほしいと言っている。
――だが。
修矢が息を吸い込んだときだった。
「冗談だよ、冗談。そんな怖い顔すんなよ」
一樹が破顔し、修矢の肩をトンと叩く。
「修矢がそこまでしてほしかったんだろう? それなら〝いやだ〟と即答くらいしろよ。ったく、お前はちっちゃいときから変わんないな。もっと自分の気持ちを出さなきゃだめだ」
「兄貴……」
「お前のことだから、彼女にも言葉足らずなんだろうな」
「……余計なお世話だ」
図星を言われて修矢が顔をしかめる。だが、足りないと言えば、そうなのかもしれない。結婚の意思は伝えてあるが、修矢は自分の気持ちをはっきりと千花に伝えたことはなかった。