お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
「まぁたしかにそうだけど。かわいい弟が結婚するって言うんだ。兄としては心配なわけだ。なんなら今から俺が彼女に言ってやろうか? 修矢がどれだけ想っていたのかを」
「やめてくれ」
修矢は、それだけは勘弁願いたかった。自分の気持ちを代弁されるほど情けないことはない。
「それじゃ、ちゃんと言ってやれよ。そうでなくたって始まりが見合いなんだ。ひとつひとつ言葉で伝えなきゃ、通じ合えるものも通じ合えなくなる」
「わかってるよ」
「いいや、お前はわかってない。約束しろ。必ず言葉で彼女に伝えて、幸せになること。いいな? これが兄としてのはなむけの言葉だ」
幼い頃から修矢のそばにいた一樹には、なにもかもお見通しらしい。そんなところを悔しく思いながらも、修矢は一樹の言葉をうれしく感じていた。
言いたいことをすべて言い終えた一樹がさっと立ち上がり、手を伸ばして修矢も立たせる。
「がんばれよ」
最後に一度、修矢の背中を強く叩いて一樹はドアを開けた。