お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

気を取り直して自己紹介をしてからソファへ案内しようとすると、一樹は手で千花を制した。


「いや、用件は済んだから帰るよ」
「……そうですか」
「ふたりの邪魔はしたくないからさ」
「邪魔だなんてことは……」


否定したそばからついさっきまで修矢としていたキスを思い出して、千花は鼓動が跳ねるのを感じた。


「千花さん、無愛想で扱いにくい弟だけど、こう見えて根は優しいやつだからさ。どうか見捨てないでやって。よろしくね」
「余計なことを言うなよ」


一樹の言葉に修矢が反応してちゃちゃを入れる。一樹はそれを余裕の笑みで迎え撃った。


「はい、こちらこそどうぞよろしくお願いいたします」


トレーをカウンターに置き、千花はあたふたと頭を下げた。


「あ、そうだ」


玄関へ向かいかけた一樹が突然振り返る。

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