お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
「修矢が千花さんになにか話があるそうだから。じっくり聞いてやって」
「おいっ、だからやめろって言ってんだろ」
「うるせー。お前は俺がこうして筋道立ててやらなきゃ、昔っからダメなやつだったんだよ」
「そっちこそ、ほんっとめんどくせー」
いきなり言い合いが始まり、千花は間に挟まれてオロオロするばかり。男同士のけんかの仲裁の経験はない。
「あ、あのっ、兄弟げんかは……!」
両手に拳を握り、なんとか声を上げる。ところが揃って千花を見た顔は、どちらも怒りに任せた感じには見えなかった。
「あー心配しないで、千花さん。こんなのけんかのうちに入らないから」
男同士なら殴り合い、取っ組み合いのけんかになるのだろうか。
千花が別の意味で不安そうにしていると、「あ、でも」と一樹が目線を斜め右上に向けた。
「俺たち、けんか自体したことないんだよね。どちらかというと仲はいい方だったから。こいつ、捻くれてはいたけど、俺のことはやたらと慕ってきてさ。ちっちゃいときから〝お兄ちゃん、お兄ちゃん〟って俺のあとを追いかけまわして」