お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
◇◇◇
どこか遠くでなにかの音が聞こえる。アラームのような電子音が、深い眠りについていた千花の鼓膜を震わせた。
その音に少しずつ引き上げられるようにして、混濁していた意識がクリアになっていく。
重い瞼をゆっくり開いたところで、千花の目の前に修矢の顔があった。千花の身体には、離れないようにと修矢の腕が回されている。
ハッとしたのは、ほんの一瞬。昨日、自分たちが結婚式を挙げたことを千花はすぐに思い出した。
千花の身体中にはまだ熱が残っている。
いったい何度抱き合っただろうか。一緒に果てては再び繋がり、隙間なく身体を重ね続けた。それこそ夕食もとらず、休む間もなくずっと。シャワーを浴びるときでさえ、キスは止められなかった。
初めてのスイートルームで過ごす夜。千花はもったいなくて眠れないかもしれないと思っていたが、別の意味で眠れなかったのは言うまでもない。
ふたりが眠ったのは、おそらく明け方。カーテンの向こうからぼんやりとした薄い明かりが差し込んでいたことは、千花もなんとなく覚えている。
遠くに聞こえていた電子音は、いつの間にか止んでいた。
(修矢さんの寝顔、本当に綺麗だな……)