お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

「あの、えっと……修矢さんのことをパパって……。パパって呼んでいるのを病院で見かけたんです」
「……そう。それって女性も一緒じゃなかった?」
「……一緒でした。とっても美人の」


思い出しただけでズンと気持ちが沈み込む。千花では敵わないと思わずにはいられないような女性だ。


「それは美和子ちゃんだ」
「美和子、さん……」
「修矢の幼馴染。俺たちの実家の隣に彼女の実家もあるんだ。小さい頃からよく一緒に遊んでたよ」


幼馴染。だからあんなに打ち解けた笑顔を向けたのか。それとも、そこに別の感情もあるからなのか。
まるで鉛を口から含んだように、千花は身体全体が重くなるのを感じた。


「『東都製薬』の令嬢だ」


付け加えられた一樹のひと言が、さらに千花にダメージを与える。脳天に強烈なパンチを食らったようだった。
弁当屋の娘である千花とは、住む世界の違う人間。それは一流外科医の修矢も同じく。

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