お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
◇◇◇
一樹に送り届けられたマンション。
千花はキッチンで弁当箱を洗いながら、再び物思いに耽っていた。
この結婚は間違いだったのかもしれない。
ふと、そんなことを考える。
一流外科医とのギャップは、どうしたって千花には埋められない。妻になったからといって、均衡になるわけでもないのだ。
美和子を見かけたことで、千花はどうしようもない劣等感に苛まれた。
それをなんとか忘れたくて、千花は部屋の掃除を始めた。身体を動かしていなければ、どんどん深みにはまっていくだけ。
すべての部屋に掃除機をかけ、フローリングシートで磨いていく。そうすれば、自分の薄汚れた心も晴れやかになるような気がしたから。
そうしてひと通り掃除を終えた千花は、リビングのテーブルに置き去りにしていた郵便物を選別し、自分宛のものを開封しようとレターオープナーを引き出しに取りに行った。
ところがいつもしまってあるところにはなく、あちらこちらの引き出しを漁っていく。
(あれ? どこにいったんだろう? こっちかな……?)
普段は開けない引き出しに手を入れたときだった。見覚えのある封筒が奥から出てくる。
千花の胸を嫌な予感がかすめた。