年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
私達はお母さんが食事するのを見守ってから家を出た。
輝は二、三日うちには家に戻ると約束し、二人で歩きながら彼のお母さんのことを思い返した。


「……私、お母さんの孤独に触れた様な気分がした」


歩きながらそう呟くと、輝は振り向いて「孤独?」と言う。


「うん。お母さんも輝も、似ているなって思ったの」


還らない愛情を求めるところが似ている。
相手にも愛されてるのかどうかが疑問で、それを確かめることも怖くて、してないだけなんだ…と感じた。


「そう言えば、結婚の許しを貰うのを忘れてたな」

「そうね。でも、輝のことを見捨てないで…って頼まれたよ」


きちんと返事もし忘れていたけれど、きっと握った手の力強さで、私の気持ちは伝わっていると思う。


「母さんが俺のことを?」

「うん、偉そうにはお願いできる立場じゃないんだけど…って言いながら」


輝はちゃんとお母さんに大事にされてる様な気がする…と呟くと彼の足が止まる。

「望美…」と呼ばれて振り返ると、彼の腕が背中に巻き付き、ぎゅっと力強く抱きしめて、「愛してる」と囁かれた。


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