年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
国外に出て、彼とベタベタして歩きたかったんだ。
しっかりと手を握り合って、四六時中くっ付いていたかった。


(こういうの望むの、私だけなのかな)


年下の輝は、もう私という人間に飽いているのかもしれない。
年上なんてもういいと思って、他をぼちぼち探し始めているのかも。


(最初から、私はいつ捨てられてもおかしくない状況だったしな)


イケメンで素敵でモテモテの輝。
何処へ行っても注目されて、持て囃される彼は、常日頃から周りに女子が集まっている。


社内では、それを見る度に落ち込む。
だけど、最初の頃はまだ彼の熱が冷めていなかったから救われていた。


(三年も経つと変わるよね。人の気持ちも、熱の度合いも……)


年下の彼と付き合うのには、それなりの覚悟がいる。
この頃の私は、それをしみじみと痛感し始めているんだ__。


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