元ストーカーの夫は、
遥がずっと相良財閥で無表情だったのは、きっと“我慢”していたから。
沢山の我慢を強いられて、きっと彼から表情を奪っていったのだ。


───……だけど、今は───。


私の前では、今でこそ意地の張り合いで変な我慢をしているようだけれど、普段の遥は、『悲しい』『嬉しい』が一目で分かるくらいにはとっても表情が豊かだ。

そう思うと、彼の普段の表情さえも愛しく感じてしまう。
だってそれは、遥が“我慢”をしていないって事だからだ。


一つ一つ、遥を理解して行けば行くほど、愛しさが募る。

愛しさと嬉しさで笑みが溢れた私を、遥は不思議そうに目をパチパチさせながら見ていたけれど、やがて痺れを切らしてしまったのか眉尻を下げながら顔中にキスの雨を降らせてきた。


「なっちゃん、続きは?」


今にも泣き出しそうな彼の“表情”に、愛しさが溢れる。


「……分かった。約束は取り消す」


私も大概彼に甘いなと思いつつも、遥の破顔した顔を見たらそれでもいいかとつられて笑ってしまった。



───……勿論、翌朝には大後悔する事になるとも知らずに。




fin

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付き合って、3年。 ──……結婚して、6年。 子どももいない。休みも合わない。会話もない。 お互い仕事ばかりで夫婦仲は冷めきっていて、 ……レス歴も2年。 そろそろ、……潮時なのかもしれない──。 『会いたい。奥さんがいてもいいから、もう一度あなたとやり直したい』 夫に来た高校の時の元カノからのメールに──、 もう、元には戻れないのだと悟った時。 私は何故か、 “17歳”へと時が巻き戻っていた──。 ❥・・❥・・❥・・❥・・❥・・❥・・❥・・❥ 「梨沙? お前アイツと知り合いなの?」 「う、ううん。話した事も……ない人」 “記憶の中”では数年ぶりに再会した元カレと、 「アンタ、誰?」 「……」 同じ高校だったのだと、 社会人で知り合うまでお互い知りもしなかった夫。 そんな二人の間に高校生としてもう一度、 何故だか私は降り立った。 ───人生の、やり直し。私は───。 ※画像はイラストACのめぐ。様を使用させて頂いてます。

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