同期に恋して 〜ずっと片思い〜
「ちな?何を怒ってるんだよ!」

「別に怒ってない」
仕事を終え、足早に会社を出たところを、後ろから聞こえた涼真の声に、チラリと視線を向けてすぐに歩き出した。

「怒ってるだろ?」
少し怖い顔の涼真にを私はなぜかチラリと睨みつけてしまい、私は小さくため息をついて足をとめた。


「別に本当に怒ってないから」
今度は冷静に言えたと思うが、涼真は納得のいかないような顔をして私を見た。

「嘘つけ!それが怒っていないっていう態度かよ」
涼真のすこし苛立ちにも似た様子に、私はキュッと唇を噛み締めた。

自分でもわからない気持ちを、涼真に言えるわけもない。

「ごめん。怒ってない」
静かに言った私に、涼真も少しだけ表情を緩めたような気がした。

涼真が何に対して怒っていると思っているのかわからないが、あのキスのことは涼真も言ってこない。

だから私も口にだすことはできなかった。

もしくは、すでに涼真の中で忘れるぐらいの事なのかもしれない。

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