【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
微笑みかけると、何故か佐倉先輩は、私を見ながら大きく目を見開いた。
……あれ?
佐倉先輩、なんだか顔が、赤い気がする……。
「……ありがと。……うん、なんか照れるね」
「……?」
「ううん、気にしないで。……これ、今日乗るバスだよ」
あっ……いつの間に……!
話に集中していて気づかなかった。体育館裏にある裏門の前に停まっていた、一台のバス。
佐倉先輩は荷物を入れる場所に私のキャリーバッグを入れてくれて、扉を閉めた。
「よし、体育館戻ろうか?そろそろ点呼とらなきゃね」
「はい」
二人で並んで、そう遠くはない体育館までの道を歩く。
その、途中だった。
……っ。
視界に映った、和泉くんの姿。
和泉くんも荷物を入れに来たのか、大きな鞄を背負いながらこちらへ歩いてきていた。