【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「でもありがと。静香ちゃんにそう言ってもらえると嬉しいよ」
どうやら嫌な気分にさせてしまったわけではなさそうで、ほっと胸を撫で下ろした。
体育館に戻って、部員さんたちが全員揃ったところで点呼をとった。
佐倉先輩が注意事項などを説明した後、みんなでバスへ向かう。
マネージャーは前側の席らしく、私も指定された席へ座った。
私の横を通り過ぎる男の子たちが、何やらヒソヒソと話しているのが耳に入る。
「マジで静香先輩いんじゃん……やば、俺合宿面倒だったけど来て良かった〜」
「つーかただのジャージなのに、静香先輩が着たらなんかな……」
「わかる。ジャージなのに色気漂ってる感じ」
何、言われてるのかな……ちょっとヤダな……。
やっぱり男の子は、怖い……。
通り過ぎるのを待とうと、目をきつく瞑った時だった。
「邪魔」
彼の声ひとつで、場がシーンと静まる。