【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「マネージャーの仕事って、主に応援でしょ?」
「そうそう、全力でしてる〜。主に佐倉先輩と和泉くん!」
「あたしも〜」
「……帰れ」
自分でも驚くほど低い声が、口から零れた。
「は?」
マネージャーたちは、間抜けな顔で俺を見ている。
「お前ら今すぐ帰れ。サッカー部やめろ」
俺にこんなことを言う権限はないけど……我慢ならない。
あの人の優しさを、踏みにじられることだけは。
「はぁ?何で一年にそんなこと言われなきゃいけないの?」
「つーか何様?」
案の定というか、キレているマネージャーたち。
でも、自分の言葉を取り消すつもりはない。
「おい、もう喋んな」
……え?
背後から聞こえた声に振り返ると、出て行ったはずの和泉がいた。
「……っ、和泉、くん?」
和泉がいたとは思わなかったのか、途端に声を変えるマネージャーたち。