【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「はいはい!佐倉先輩!」
「ん?どうした?」
「あ、あの……」
……え?
なぜか、チラチラと私の方を見ている男の人。
気のせい……には、見えない気が……。
「お前らな……みんな揃って見過ぎ。失礼だろ」
「はぁ……」と溜息を吐いた後、私の方を見た佐倉先輩。
「えーっと、じゃあ先に紹介しとこうかな。静香ちゃん、ちょっと立ってもらってもいい?」
あっ……なるほど。
サッカー部じゃない私がいたから、皆さん変に思ってたんだ……当たり前かっ……。
和泉くんのことで頭がいっぱいで、何にも考えられなかった。
言われた通り席を立つと、視線が私に集中する。
「2年の花染静香ちゃん。合宿の間だけ、臨時でマネージャーしてくれることになりました」
「よ、よろしくお願いしますっ……!」