マリッジリング〜絶対に、渡さない〜
「ただいまー」
慌ただしく廊下を馳ける足音と、開いたドアからぞろぞろと現れる見慣れた子供たちの顔。
「おかえり、みんな手洗っておいで」
「はーい!行こ!」
公園に行っていた子供たちにそう声をかけると、亜実が率先して洗面所にみんなを誘導していく。
しっかりしてきたなぁ、なんてその後ろ姿を見ていると、遅れてリビングに現れたパパ達の表情を見て思わずプッと笑ってしまった。
「三人揃って何でそんなにグッタリしてるの」
大地も勇ちゃんも慎ちゃんも、疲れた顔でソファに次々と腰をおろしていく。
「や、マジで疲れた。鬼ごっこに高オニだっけ?」
「あと色オニってやつもね」
「それからブランコ押してー、もっと押してー、もっともっとー、でエンドレスブランコ押し」
子守をお願いして、二時間弱。
疲れた様子で帰ってきた三人に、景子は呆れ顔で口を開く。
「二時間でギブアップって早すぎない?私たち毎日のようにそれやってるんですけどー」
「マジすごいっす、ママ達マジ尊敬っす」
へらっと笑った勇ちゃんは、私たちに向けオーバーに両手を合わせる。
「本当にそれ思ってる?勇太が言うとなんか嘘っぽいんですけど」
景子がチクリとそう言うと、我が家のリビングに一斉に笑い声が響いた。