マリッジリング〜絶対に、渡さない〜
みんなが予定のない週末には、自然とこんな風に集まるようになって約七年。
年々色濃くなっていく家族ぐるみの付き合いは、居心地が良くてホッとする。
「喉乾いたんじゃない?ちょっと待っててね」
子守り疲れで体力を使い切った様子のパパたちと子供たちにと水分補給用のお茶を用意していると、大地がキッチンに入ってきた。
「亜紀、そういや今日の晩ごはん決まった?」
「うん、玲ちゃんが牛モツ差し入れてくれたからモツ鍋にしようかって話してたの。子供たちにはシチューでも作ろうかなって思ってる」
「お!いいねー、モツ鍋。あ、何か買ってくるものあったら俺らで買い物行ってこようか?」
「んー、じゃあ…ニラとキャベツ、それからみんなのお酒も」
「了解」
大地はそう言うと、ソファに座っていた勇ちゃんと慎ちゃんに声を掛け、お茶を飲み干すと三人揃って再び家を出ていった。
「亜紀、私たちも何か手伝うよ」
先にシチューを作っておこうかと思った矢先、慣れた様子で我が家のキッチンに入ってきた景子は、ひとまず玉ねぎの皮を剥き始めた。
「じゃあ、私は子守担当しておきまーす!」
カウンター越しに敬礼のポーズをとった玲ちゃんは、ぞろぞろと戻ってきた子供たちをひとまとめにして、リビングに隣接する子供部屋でおもちゃ片手に遊び始めた。
これも、よくあるいつものパターンだ。
だけどまだまだ遊び足りない様子の子供たちは、一人が庭へ出ていくと、それにつられるように次から次へと庭に出ていってしまった。
そして始まる、いつものしたいしたい攻撃。
「ねぇ、ママー!亜実、お庭でシャボン玉したい」
「寧々もしたーい!」
「舞もしたーい!」
八歳の長女三人組はそう言って庭からこちらを伺い、返事を待っている。
「ふーちゃんはボールがしたい」
「亜矢もー」
「瑠々もー」
そして、年齢はバラバラの次女チーム三人は、こちらの返事を待つこともなくすでにボールを手に遊び始めていた。