【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
けれど彼には色々とさらけ出してしまう。
いつもは酔っ払っても、本当に気を許した相手でなければこんなふうにならないのに。
「だって、俺にとってはうれしいことだから」
「はあ? 何言ってるの?」
「まあ、とにかく乾杯しましょう! 独身バンザーイ!」
「バンザーイ!」
カチンとお互いのグラスをぶつけて、コクコクと飲む。
そんなわたしたちを見て、バーテンダーは苦笑している。
「で、今日のお見合いはどうしてダメだったんですか?」
「聞きたい、ケイトさん……、ん? ケイトくん……? あれ……」
「ケイトでいいですよ、芽衣子さん。誰かに話せば少しは昇華されるでしょう?」
そう言われてわたしは遠慮無く今日のお見合いの話を聞かせた。
そもそも今日のお見合いは最初から良くない感じがしていた。
待ち合わせのレストランでわたしを待っていたのは、結婚相談所のデータベースで見た写真とはまるで別人だった。
よくあることとは思うけれど、あの髪の状態から判断すると五年以上も前のだと思う。
まあそれはさておき問題はそこからだ。
「相手の人、席に座るなりグラスやカラトリーを全部ナプキンで拭き始めたの。
それなりのレストランだから、汚れなんて一切なかった。それなのに、何度も何度も……」
思い出すだけでも嫌になり、頭を軽く揺する。