【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
「うそ……でしょう」
あまりにもおでんがおいしすぎたせいで、ふたりは結局終電間際まで食事とお酒を楽しんだ。
時計を見て慌ててお勘定を済ませ駅に向かったのだけれど、そこは人であふれかえっていた。
電光掲示板には【事故のため運休】と表示されており、電車に乗れなくなった人々が肩を落とす姿があちらこちらで見受けられた。
わたしももちろんそのひとりだ。
「復旧の目処はまだ立っていないみたいです」
呆然としていたわたしと違って、ケイトは駅員さんに現在の状況の確認をしてくれた。
「だったら、タクシー……」
駅のロータリーにあるタクシー乗り場を振り返ると、みな同じことを考えているのか長蛇の列だ。あの調子だといつ乗れるのかわからない。
「困った、覚悟を決めて列に並ぶしかない……くしゅんっ」
深夜になってずいぶん冷え込んできた。
ケイトはすかさず自分のマフラーをわたしにぐるぐる巻きにする。
「ありがとう。あったかい」
「付け焼き刃ですよ。このままであの列に並んでいたら芽衣子さん凍死しちゃいます」
「おおげさよ。でも寒いのは間違いないわよね」
ふたりで列を見ると競うようにして並ぶ人たちで、どんどん列は長くなっている。
おまけに雪まで降ってきてしまった。