あなたに恋のお届けものです
「その、勝利君の落とし物を預かってるんだけど…。俺は学校に入れないから。」
「じゃあ、今から勝利の部屋に行く?」

「真由子さん!ありがとう。独りじゃちょっと不安だったからさ。俺、年下だし。」

「でも、私は勝利の部屋を知らないよ?」
「大丈夫。俺が知ってる。」

おー。さすが寮母の息子。
「じゃあ、急いで行こっか。」
「うん。」

私たちは勝利の部屋に向かった。これが一つの気まずさを生むことになるなんて知らずに…


コンコン
悠里がドアをノックする。
「誰だよ。」
「永井悠里です。落とし物を届けに来たのですが。」

カチャっと音がしてドアから勝利が顔を覗かせた。
「落とし物ってどんなの…って真由子?」
「あっ、勝利。」

勝利はしばらく固まったまま動かなかった。
「落とし物はこれなんですけど…。」

悠里は不思議そうな顔をしながら勝利に落とし物を渡した。
「何でお前が永井悠里といるんだよ。」
勝利は悠里を一切見ずに聞いた。
「悠里が独りじゃちょっと不安だからって。だからついてきたの。」

「たかが落とし物を届けるためについてきてあげるのか、お前は。」

は?ついてきて、何でそんなこと言われなきゃならないのよ。
私の中でプチっと音がした。
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