最愛宣言~クールな社長はウブな秘書を愛しすぎている~

「そんなわけないでしょう、あなたヒトでしょうが!」
「すぐにまたミーティングだ、病院に行ってる暇などない」
「キャンセルしました。今日、明日の予定は全て明後日以降に振り替えてあります」
「なに? 誰がそんなこと指示した?」
「神崎室長に許可はいただいています」
「お前のボスはいつから神崎になったっ?」
「うるっさいな、あんたがいつになっても人のこと信用しないから悪いんでしょっ!」

 言い合っている最中に私の理性がぷっちーんと切れた。これまで溜まりに溜まっていた不満が一気に爆発する。

「大体ね、人の使い方がへたくそ過ぎんのよアンタ。他人ができる仕事は他人に振る、これエグゼクティブの常識ね。今までの秘書がどんだけ使えなかったか知らないけど、あんたの使い方も間違ってたんじゃないの? それを自分のことは棚に上げて、煩わしいのはごめんだなんてよく言えたもんね!」

 いきなりの私の暴言に、社長は頭が付いてこないのか怒るでもなく唖然としている。
 止めてくれないから私の暴言も止まらない。


「そんなふらふらしてるくせに仕事続けようなんて馬鹿じゃないの? 病人はおとなしくしてろ!」


 社長の手から受話器を奪い返して、運転手の松原さんに電話をする。幸い神崎室長から連絡がいっていたようで、すでに裏に車が回っていたので、社長を追い立てるようにして車に向かった。社長はまだ驚きから立ち直れないのか、反抗せずにされるがままだ。
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