懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
さて、誰かに町一番の鍜治屋の場所を尋ねなければ……。

そう考えるラナとカイザーは、ひときわ賑やかな声の聞こえる酒場で情報を得ようと、簡素な木目のドアを開けた。


ワイワイと賑やかな酒場は、アルコールと葉巻の匂いに満ちている。

客席は三十くらいあるだろうか。

空席はひとつもなく、立ち飲みの客までいて、かなりの盛況ぶりであった。


「な、なにこの雰囲気……」

ラナが戸惑ったのは、客の大半がいかめしい顔つきをした男たちで、店内にいる全員が共通の話題で盛り上がっているせいである。

三人の店員は、忙しそうに酒やつまみを運んでいて、ラナたちには気づいていない。


「別の店で聞いた方がよさそうだな」とカイザーが言い、ラナは頷いた。

閉めたばかりのドアを開けようとしたふたりだが、背後に「テッコーマンの旦那、いつものアレ、言ってくれよ!」という大きな声がしたので、ハッとして振り向いた。


名を呼ばれた男は店内の真ん中辺りに座っていて、深緑色のハンチング帽を被り、角ばった顔で無精髭を生やしている。

細身であるが、筋肉質で力の強そうな中年男であった。


(あの人が、ロメオの父親なのかしら……?)
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