懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
時計塔の石積みの壁に背を預けたラナは、「ああ、うるさかった……」とため息をついてから、難しい顔をする。

ロメオとジュリエッタのために、父親ふたりを説得すればいいかと思っていたのに、もっと大きな対立があると知ったからだ。


「資料に書かれていた町を二分する争いって、アレのことだよね?」

ラナの正面に腕組みをして立っているカイザーは、問いかけられて、深刻そうな低い声で答える。

「おそらく、そうだろう。コナヒキー率いる小麦農家たちと、テッコーマンを頭とする鍛冶屋組合の争いだ」


国王に渡された資料と、酒場で耳にしたことを合わせて考えると、こういう構図があるようだ。

小麦生産と鉄工業のどちらを、領内での最重要産業にするかで、領民たちは揉めている。

ルーモン伯爵は昨年、家督を譲り受けたばかりであり、元から陰が薄い人物でもあるため、領民に舐められているのだろう。

コナヒキーとテッコーマン、力のある両者にそれぞれ詰め寄られて、オロオロしている伯爵の姿がラナの目に浮かんだ。

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