懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
王都には大きな劇場がふたつあり、貴族や豪商の娯楽施設となっている。
じっと見物しているだけの娯楽はラナの好むところではないけれど、他貴族との交流の場として観劇することもあった。
それも王女の仕事と言って、差し支えないだろう。
カイザーが口にしたその芝居とは、ロメオとジュリエッタのように、両家の仲の悪さが原因で結ばれぬ、恋人たちの物語だった。
最後は儚く命を散らした主役のふたりを見て、周囲の貴族女性たちは皆、涙していたが、ラナはひとりだけ鼻息荒く憤っていた。
結末に納得いかないとばかりに立ち上がり、今にも舞台に上がって文句をつけそうな怒り顔をしているから、護衛として同行していたカイザーが慌てて止めたのだ。
『王女殿下はご気分がすぐれないようです』と周囲にごまかして、ラナが怒り出さないように手で口を塞ぎ、急いで城まで連れ帰った記憶は、そう古くない。
その話を持ちだして肩を揺らして笑ったカイザーに、ラナは少し恥ずかしそうに頬を染めつつも、フンと鼻を鳴らした。
「あの件ではカイザーの世話になったけど、仕方ないでしょ。私は、悲恋や悲劇が大っ嫌いなの!」
三日月に向けてそう叫んだ彼女を、カイザーは愛しげにその目に映す。
彼の返事は「知ってる」という簡単なものであったけれど、共に過ごしてきた十九年分の思いが込められたような温かな声であった。
じっと見物しているだけの娯楽はラナの好むところではないけれど、他貴族との交流の場として観劇することもあった。
それも王女の仕事と言って、差し支えないだろう。
カイザーが口にしたその芝居とは、ロメオとジュリエッタのように、両家の仲の悪さが原因で結ばれぬ、恋人たちの物語だった。
最後は儚く命を散らした主役のふたりを見て、周囲の貴族女性たちは皆、涙していたが、ラナはひとりだけ鼻息荒く憤っていた。
結末に納得いかないとばかりに立ち上がり、今にも舞台に上がって文句をつけそうな怒り顔をしているから、護衛として同行していたカイザーが慌てて止めたのだ。
『王女殿下はご気分がすぐれないようです』と周囲にごまかして、ラナが怒り出さないように手で口を塞ぎ、急いで城まで連れ帰った記憶は、そう古くない。
その話を持ちだして肩を揺らして笑ったカイザーに、ラナは少し恥ずかしそうに頬を染めつつも、フンと鼻を鳴らした。
「あの件ではカイザーの世話になったけど、仕方ないでしょ。私は、悲恋や悲劇が大っ嫌いなの!」
三日月に向けてそう叫んだ彼女を、カイザーは愛しげにその目に映す。
彼の返事は「知ってる」という簡単なものであったけれど、共に過ごしてきた十九年分の思いが込められたような温かな声であった。