懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
見上げると、大きな文字盤の中にある、白く塗装されたドアが開いている。

それはおそらく、時計の針の調整や修理を行うために設けられた作業用のドアであり、そこにロメオとジュリエッタの姿が見えた。

地上からの高さは十メートルほどもあって、怖いのか、ジュリエッタはロメオにしがみつきながらも、覚悟を決めたような固い表情をしている。


「ジュリエッタ、なにをしている。危ないから早く階段で下りてきなさい!」とコナヒキーが呼びかけても、彼女は首を横に振り、この場にいる全員に向けて大きな声で主張した。


「私はロメオを愛しています。結婚を許してもらえないのなら、生きている意味はありません。ここからふたりで飛び降ります」


「な、なんだって!?」とコナヒキーは驚き慌て、テッコーマンは舌打ちしつつも、どうしようかと考えているような渋い顔つきになる。

けれども、両者とも、死なれるくらいなら許すと言う気はないようだ。


「馬鹿なことを言うんじゃない」

「ロメオ、そのアバズレ娘を取っ捕まえて下りてこい」

そう言うだけなので、時計塔の上にいるふたりは顔を見合わせて頷くと、抱き合いながら足を半歩前に進めた。

ふたりの爪先は空を踏んでおり、重心を傾ければ落ちてしまうことだろう。

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