懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
「大丈夫。みんなはここで待機していて。私は絶対に捕まらないけど、万が一の場合は大声出すから、その時は門番をぶっ飛ばして助けにきてね」

小声の早口でそう言ったが否や、ラナは体勢を低くして壁際に走り寄り、足音を忍ばせて建物の裏へと進む。

どこから建物内に入るつもりかというと、窓である。

窓を塞ぐ両開きの木戸には、内側から留め金がかけられているはずだが、日中、イワノフが一カ所だけこっそりと外し、侵入経路を確保していた。

外気を吸うふりをして『勝手なことをするな!』とイブシゲルに怒鳴られた、あの窓である。


前後に見張りが歩いているので、そのランプが照らす範囲に入らないよう気をつけつつ、ラナは目当ての窓までたどり着いた。

(いよいよね。この緊張感がたまらないわ……)

隙間からわずかに明かりの漏れる木戸をそっと開ければ、積まれた木箱に遮られて工場内は見渡せない。

日中、鬼ごっこをするふりをして崩したたくさんの木箱を、窓からの侵入に気づかれぬように、ここに積み上げたのは、カイザーとグリゴリーであった。


周囲を素早く確認したラナは、身軽に窓から中に入り、そっと木戸を閉める。

そして木箱の陰から顔だけを覗かせて、工場の様子を窺った。
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