懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
(思った通りね……)

工場内の様子は日中と大きく変わっていた。

作業台の上にあるのは肉の塊ではなく、たくさんのガラス瓶や天秤、数種類の粉が山盛りとなった銅製の容器である。

従業員は日中より人数を増やし、七十人ほどが手袋とマスクをして、怪しげな作業に従事していた。

イブシゲルの姿がないのは、指示を出した後は自宅に帰り、夜は普通に寝ているためだと思われた。


どこからかツンとした匂いが流れてきて、ラナは思わず口と鼻を手で覆う。

匂いの源を見れば、昼間はウッドチップを熱していた釜に、今は大鍋がのせられ、植物の根のようなものをグツグツと煮込んでいた。


(毒性のある成分が空気中に漂っているんじゃないかしら。長居はできないわね。早く証拠を手に入れて脱出しないと、苦しくなりそうよ……)


ラナの狙いのひとつ目は、麻薬そのものである。

ここが麻薬密造工場であるという、これ以上の証拠はないだろう。


隠れていた木箱の陰からランプの明かりの下にそっと出たラナは、身を低くして、右前方の大樽の後ろに移動する。

すぐ近くを男たちが行き来しているので、いつ見つかってもおかしくない状況であった。


ラナの鼓動は振り切れそうに高鳴るが、それを嫌な緊張感だとは思わず、恐怖心もない。

口元は緩やかに弧を描き、瞳を挑戦的に輝かせ、彼女は明らかにこの状況を楽しんでいた。

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