懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
積み上げられた麻袋、鉱石を積んだ手押し車の後ろ、山と積まれた薪の陰と移動を繰り返したラナは今、男たちが向かい合わせに立ち並んでいる作業台の近くにいる。

天井を支える太い石柱のみが彼女を隠していて、背中側はガラ空きだ。

ほんの一馬身ほど後ろには、火にかけられた大鍋をかき混ぜている男がいるので、振り向かれたら確実に見つかることだろう。


そんな危うい状況でも、ラナが怯むことはなかった。

よく言えば度胸があり、悪く言えば無鉄砲。

柱の陰にしゃがんで顔だけ覗かせた彼女は、作業台の上を注意深く観察する。

(あれが完成品の麻薬、ハイジンテキシンじゃないかしら……)


男たちは手のひら大の茶色い薬瓶に、計量した白い粉末を入れて、コルクの栓をしている。

それを、それぞれの足元に置かれた木箱に詰める作業をしていた。

なんとか、薬瓶の一本を手に入れたいと企むラナは、柱の陰から体の三分のニを出して、手前の男の足元に向け右手を伸ばす。


と、その時……男がラナの方に顔を向ける気配がした。

慌てたラナが素早く柱の陰に身を隠したら、今度は後ろで大鍋を混ぜている男が大きなクシャミをしたので、肩をビクつかせる。

(スリル満点ね。楽しいけど、心臓が壊れてしまいそうだから、次で絶対に、あの瓶を手に入れなくちゃ……)
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