懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
音に出さずに深呼吸したラナは、気を引きしめ直して再チャレンジする。

作業台の男に気をつけつつ、柱の陰から精一杯、右手を伸ばし……ついに木箱の中の薬瓶を掴むことに成功した。

(よし、やったわ……!)


見つかることなく無事に証拠を入手したラナだが、ホッと息つく暇はない。

薬瓶を懐にしまうと、今度は出入口のドアに向けて移動を始めた。

慎重に物陰を渡り歩いて両開きのドアまでたどり着き、少しだけ開けて、玄関へと続く通路の様子を窺う。

(誰もいないようね……)


わずかな隙間に体を滑り込ませるようにして通路に出れば、そこは壁掛けランプに火が灯されておらず真っ暗であった。

壁伝いにラナが目指したのは、玄関ではなく、その横にある事務室である。

事務室の中には交易台帳があるとイブシゲルが言っていたので、それも手に入れたいとラナは欲張る。

交易台帳には取引先が書かれているはずで、芋づる式に麻薬に関わる者たちを摘発できるのだ。


ラナは警戒心を少し緩めて、事務室のドアの隙間に光が見えないので、中には誰もいないと思われる。

それで警戒心を緩めたラナは、ドア前に立ち、躊躇なくそのドアノブを引いた。

けれども、鍵がかかっており、開けることはできない。

(まぁ、大切なものがしまってある部屋は、施錠されていて当然よね……)

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