懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
ランプを執務机の上に置き、その額縁を両手で掴んでそっとずらせば、壁に窪みがあることに気づく。

そこには鼠色の表紙に挟まれた分厚い台帳が置かれていて、ラナは喜び勇んで手に取った。

タイトルは書かれていないが、表紙を開けばすぐに、“ハイジンテキシン”の文字が現れる。

ふたつ目の証拠品、交易台帳を手に入れてニンマリとした彼女であったが、直後にそれは苦笑いへと変わる。

(私も昔、大事な手紙を額縁の裏に隠したことがあるのよね。悪党と思考回路が一緒だなんて、ちょっと嫌だわ……)


その手紙とは、カイザーからのものである。

城を抜け出したラナが、カイザーを連れて旅に出たのは、ふたりが十歳の時。

王女が二日間行方不明になったことで城は大騒ぎとなり、捜索部隊に連れ戻された後は、ひと月ほどカイザーに会うことを禁じられたのだ。


あのお仕置きはラナにとって、どんなことよりつらいものであった。

たちまち元気をなくした彼女は、食事も喉を通らなくなる。

それを見て心配した執事が、内緒で手紙の受け渡し役を申し出てくれたのだ。


あの時にカイザーとやり取りした十数通の手紙は、まだ彼女の部屋の額縁の裏に隠されたままである。

【ラナに会えなくて俺も寂しい。毎晩夢にお前が出てくる】と書かれた手紙は、恥ずかしいので誰にも見せられない、秘密の宝物であったーー。

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