懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
王城騎士であるカイザーと、日頃から稽古している彼女なので、そんじょそこらの悪党よりは断然強いと思われるが、さすがにこの人数を相手にするには無理がある。

ひとたび剣を交えたら最後。

たちまち集団に囲まれて、捕らえられるのは、わかりきったことであった。

(逃げるのは性に合わないけど、今は、ひたすら走るしかないわね……)


全力で駆けるラナの前方には、見回りをしていた警備の男がふたり、剣を手に待ち構えているのが見えた。

ふたりなら大丈夫だと判断した彼女は、「邪魔よ!」と走る速度を緩めずに、腰の剣を抜く。

左手が台帳で塞がれているので、剣を操るのは右手のみ。

走る力も利用して、男ふたりを一撃で薙ぎ払った彼女はやはり、王女とは思えないほどに強い。


けれども数メートル先に、残りの警備の男三人が待ち構えているので、ラナは舌打ちしたくなる。

さらに悪いことに建物の裏手から、角を曲がって二十人ほどの男たちが現れたので、ラナは目を見開いた。

作業員の男たちの三分の一ほどが、逆回りで追いかけてきたのは予想外である。


(あと少しで、抜け穴まで行けたのに……)


足を止めざるを得なくなったラナは、たちまち八十人ほどの男たちに取り囲まれる。

剣を振って威嚇しても、背中を鉄柵に当てているこの状況は、万事休すと表現するしかない。

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