懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
トカゲの隠密一族もどこからともなく現れて、戦況はあっという間に逆転し、ラナたちが優位に立つ。

ひとりだけ戦わずに、後方で口だけ出していたイブシゲルが、旗色が悪くなったのを感じ取ったのか、うろたえ始めた。

「な、なんなんだこいつらは。泣く子も黙る荒くれ者の一味を雇ったというのに、子供のように遊ばれているじゃないか……」


「まさか……」と呟いたイブシゲルは、その後に続く言葉を口に出せずに青ざめた。

ラナたちがあまりにも強いので、もしや中央政府から派遣された調査官かと、疑ったのではあるまいか。

その顔に焦りがありありと表れた、その時……。


「なにを騒いでいるのだ!」という怒声が響いて、皆が声の方に注目した。

倒れた柵を跨いで戦いの場に現れたのは、数十人の護衛を従えた、中年の紳士である。


護衛兵のひとりがランプの火を松明に移したから、辺りは急に明るい光に包まれた。

少々垂れ目で鼻の大きな細身の紳士は、アダモビッチ侯爵。

その顔を見たラナは、すぐに誰であるか気づいたが、侯爵の方はわからないようである。

王都から遠いこんな場所で、しかも平民服を纏って乱闘騒ぎの渦中にいるのだから、王女であるはずがないと思うのであろう。
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