懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
イブシゲルを含めた工場の男たちは、領主が駆けつけたからといって、これ以上、取り乱すことはなかった。

ただ、どうしたものかと戸惑い、戦いの手を止めている。


(ルーモン伯爵は領民になめられていたけれど、アダモビッチ侯爵の力は、しっかりとこの町に浸透しているようね……)


たちまち大人しくなった男たちを見て、ラナはそんな風に解釈し、侯爵に頼もしさを覚える。

宴の場では物腰が柔らかく、常に朗らかな侯爵であったが、今のように厳しい顔付きもできるようだ。


もう剣は不要だと判断して鞘に戻したら、イワノフが静かに歩み寄り、ラナに顔を寄せた。

「姫様、まだ侯爵にはーー」となにかを進言しようとしたイワノフであったが、アダモビッチ侯爵の厳しい声が響いたので、ラナの注意が逸れてしまう。


「イブシゲル、状況を説明せよ!」


その命令に、あたふたと領主に駆け寄ったイブシゲルは、侯爵の顔色を窺うようにして話しだす。

「実は、燻製工場に侵入者が現れまして。その者たちはおそらく……」


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