懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
侯爵が顔をしかめたのは、どういった心境からなのか。

きっと、麻薬密造に対する怒りと、それを指摘されるまで気づけなかった己の未熟さを悔いているのではないか……そう解釈したラナは、気の毒に思って慰めの言葉もかけた。


「日中は燻製工場として確かに稼働しておりましたもの、見抜けないこともあるでしょう。仕方ありませんわ。あなたを責めるつもりはありません」


王女が微笑みかければ、侯爵はホッとしたように表情を緩めたが、すぐに険しい顔を取り戻して立ち上がると、斜め後ろに振り向いた。

「イブシゲル!」と厳しい声で呼びかける。

「は、はい……」


倒された鉄柵近くで土下座しているイブシゲルは、恐る恐る顔を上げ、縋るような目を領主に向けている。

拳を振り上げ、足を踏み鳴らし、態度にもわかりやすく怒りを表した侯爵は、青ざめる工場経営者を怒鳴りつけた。


「我をあざむき、麻薬を密造していたとは許しがたき悪行だ! 厳しい取り調べの後には、全財産没収の上、死刑あるものと覚悟せよ!」
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