懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
「それにしましても、王女殿下自らが各地を調査されているとは驚きました。危険を顧みず正義のために戦われるとは、なんと崇高な志をお持ちなのでしょう!」

「わたくしには心強い仲間がついておりますもの。危険だとは思いません。できないこともありませんわ」

「さすがは王女殿下。美しく聡明なお方であるのは、かねてより存じておりましたが、勇敢でもあらせられるとは! 感服いたしました。ミトロニア王国の未来は明るい。王女殿下がいらっしゃる限り、王家は無敵でございますな」


「そんなに褒められるほどの活躍はしておりません。恥ずかしいですわ」と謙遜しつつも、ラナはオホホと貴族的に笑い、なかなか楽しそうである。


魚料理に続いて、口直しのシャーベットが出された。

すると、それまで口数の少なかったイワノフが、「ところで……」と侯爵に話しかける。


「わしは王都で裁判を担う者であります。罪人の弁明も聞くのが信条。食事の後、牢の中のイブシゲルと話をさせてもらえますかな?」


イワノフの向かいはラナで、ふたりに挟まれている席がアダモビッチ侯爵である。

真顔の賢者に問いかけられた侯爵は、一瞬の戸惑いを見せ、視線を外した。

「そ、それは……」

マズイと言いたげな顔をしたのは、どんな理由からなのか。

けれども侯爵は、すぐに視線をイワノフに戻すと、眉尻を下げて残念そうに言葉を返す。


「高名なる王立大審院長のお申し出、恐悦至極に存じます。ですがあいにく、イブシゲルはーー」

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