懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
皆の疑惑の視線が、侯爵に向いている。

侯爵を信じて疑おうとしなかったラナも、そこまで説明されては気づかないはずもなく、食事の手を止めて、右隣に真顔を向けた。


「麻薬の輸出先が、あなたの娘だというの? どうして?」


隣国の事情は、詳細まで正確に伝わってこないが、シュワルツ家に関していい噂を聞いたことがない。

娘をそんな家に嫁がせたのは、麻薬密売のルートを作る目的があってのことでは……。

そう推測したラナは眉を寄せ、訝しむように侯爵を見る。


「まさかーー」


確信に触れようとしたラナの言葉を遮ったのは、侯爵だ。


「め、滅相もございません! 私はもとより、娘も無関係でございます。台帳の名は、きっと何かの間違いです」


両手を胸の前で振り、慌てて否定した侯爵は、それから自分が密造に関与していないことを証明してみせると言う。


「アレをご覧いただければ、必ずや疑いを晴らせます」


「アレって何かしら?」と興味を示したラナが、「いいわ。見せてもらいましょう」と硬い表情のままで頷いた。

弁明の余地を与えられた侯爵は、いくらかホッとした顔をする。

そして提案を重ねた。


「はい、是非とも。ですが……大きく重たいものでごさいまして、別室に移動せねばなりません。ですからその前に、デザートまでの食事を済ませてしまいませんか?」

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