懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
侯爵はぎこちない笑みを浮かべつつ、この辺りは養蜂が盛んで、美味しい蜂蜜が採れるのだと話し、ラナの興味を引こうとする。

その蜂蜜を使った絶品スイーツを、王女殿下一行に召し上がってもらいたいのだと。


「美味しい蜂蜜を使った、絶品スイーツ……」


ラナは肉だけではなく、甘いものも好物である。

とろりとした黄金色の蜜が、日の光を浴びて輝く様を想像していた。

よだれが出そうになって、慌てて飲み込むと、「わかったわ。デザートを食べてしまいましょう」と澄まし顔を作って言った。


左隣ではカイザーが、『まったくこいつは……』と言いたげに、呆れのため息をついている。

しかし、意外にもイワノフは黙って頷き、ラナに同意しており、侯爵が“アレ”と言った証拠が先だとは言いださない。


これ幸いと、わざとらしいほどの笑顔を浮かべた侯爵は、場の雰囲気を明るいものに戻そうと画策する。

領内で採れる蜂蜜の素晴らしさをとうとうと語ってから、壁際に控えている執事に指示を出した。


「モロゾフ、我が家自慢のドックヤックプディングを皆様にお出ししなさい」


すると、モロゾフと呼ばれた初老の執事が、驚いたように目を見開いた。

「だ、旦那様、それはーー」となぜか戸惑っており、それを侯爵が笑顔のままで叱りつける。


「早くしなさい。王女殿下をお待たせしては申し訳ないだろう」

「は、はい。かしこまりました……」

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