懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
目を泳がせ、額に汗をにじませる侯爵であったが、その顔付きが突如として、焦りから怒りへと変わる。

ガタンと椅子を鳴らして立ち上がり、数歩下がると、ドアに向けて声を張り上げた。


「出会え、出会えー! 王女だろうと構わん。今ここで亡き者にすれば、国王にまで話は伝わらないはず。こいつらをひとり残らず、斬り捨てるんだ!」


ドアの外には、屋敷の護衛兵が待機していたようで、すぐにドカドカと十人ほどが駆け込んでくる。

ラナたちは一斉に立ち上がり、戦闘態勢を取る。

オルガとイワノフをテーブルの後ろに下げ、カイザーとグリゴリーが並んで前へ。

ラナは皆の中心で、カイザーから渡された剣を抜いていた。


(真の黒幕はアダモビッチ侯爵だったのね。私を騙した上に、命を取ろうなんて、絶対に許さないわ……)


けれども……剣が交わることはなかった。

兵士たちは、抜いた剣を絨毯敷きの床に投げ捨てると、片膝をついて王女に頭を下げる。

戦う気が満々であったラナもカイザーも、これには拍子抜けして目を瞬かせるばかりだ。

ひとり慌てているのは侯爵で、退避していた窓際から声を荒げる。


「なにをしている!? 斬り捨てろと命じただろう。おい、モロゾフ、兵士どもに剣を拾わせろ!」

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