懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
(カイザー……?)

ラナは心の中で首を傾げる。

警備役として、厳しい目で参列者たちを監視しているだけならいいのだが、しかめられたその顔には、それ以外の感情も表れている気がしたのだ。


彼女が思い出したのは、三つ目の成敗を終えて野宿した時のことだ。

ふたりで湖と星空を眺めていた際、カイザーは柄にもなくセンチメンタルで、寂しげであった。

今の彼は、あの時と同じ心境にあると思われる。

ラナの女王即位を祝福していないわけではないが、今まで以上に身分隔たりを感じて、手の届かないところに行ってしまったと、憂いているのだろう。


(すっかり拗ねちゃって。もう、仕方ないな……)


ラナにはカイザーの心が、手に取るように見えていた。

クスリと笑ったのは、いじける彼を可愛く思ったからである。

それと、もうひとつ。

後で、その憂いを払ってあげなければと、楽しい企み事をしているせいであった。


王位継承式がつつがなく執り行なわれた後も、新女王の忙しい時間は続く。

王都の民が歓声を上げる中を、二時間ほどかけて馬車でパレードし、城に戻ってからもひと息つく暇はない。

列をなす貴族や豪商たちの祝辞を、謁見室にて受け続けているのだ。

気づけば時刻は、十七時を過ぎていた。
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