懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
その時、ノックの音がして、ハッとしたふたりは急いで離れる。

入ってきたのは、中年の執事であった。

一礼した彼は、二歩の距離を置いて並んで立つふたりを訝しげに見たが、なにをしていたのかと直接尋ねることまではしなかった。

用件を事務的に伝えるのみ。


「サンルームにお茶のご用意が整いました。晩餐会のお召し替えは、十八時半頃から始めればよいと思われますので、それまでご休憩を」


「わかったわ」と頷いてドアに向けて歩き出したラナだが、なにかを思いついたようにすぐに足を止め、執事に注文をつける。


「サンルームは暑そうね。わたくしの部屋にお茶を運んでちょうだい。三人分ね」

「三人分、でございますか……?」

「そうよ。侍女のオルガと、今日はずっと護衛を務めてくれている彼の分」


そう言って振り向いたラナと、視線を交えてしまったカイザーは、凛々しい眉を上げて「は……?」と小声で呟いている。

驚く彼に、ニヤリとしてみせるラナ。

「あ、あの……」

執事が戸惑いがちに声をかけたのは、侍女だけならまだしも、男性である騎士までを私室に招こうとしている女王に、注意すべきかと迷っているからだろう。

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