懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
つらそうに瞼を閉じ、数秒して目を開けたら、ラナを残してスタスタとドアへ歩き出す。

「待ってよ!」とラナが駆け寄り、その腕を掴めば、彼は足を止めてくれたが、振り向きはせずに冷たい声で彼女を拒んだ。


「これ以上、俺を苦しめるな。お前がそんなことでは、護衛すら務められなくなる。手を離せ」

「離さないわよ。まだ話が終わってないもの。苦しんでいるというなら、そのわけを話してよ」


大きな背中を見つめながら、ラナは彼の腕を掴む手に力を込めた。

カイザーがなにを苦しんでいるのかが、わからないわけではない。

知っていて、あえて聞いているのだ。

それはひとえに純粋な乙女心で、自分に対する恋心を、きちんと言葉にして伝えてほしいと願ったからであった。


(一緒に旅をしてわかったわ。カイザーは私のことが好きなんでしょ? だったら、ハッキリ言ってよ……)


しかし、大きなため息をつかれてしまう。

ラナの手を解いて振り向いた彼は、怒り顔をしていなかった。

代わりに、疲れたような、失望したような……そんな覇気のない表情をしている。
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