懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
独り言のように「無理だな……」と呟いたカイザー。

ラナが「え?」と問い返せば、彼は真面目な顔をして、たった今、決意したことを口にする。


「俺、騎士を辞める。王都を離れて、どこか遠くの貴族領で、傭兵でもやって生きていく」


これにはラナも驚き、目を丸くして、「なんで!?」と問いかけた。

まさか城を出ていかれるとは、少しも思っていなかったからだ。

するとカイザーは感情を押し殺したような声で淡々と、苦しい男心を打ち明ける。


「謁見室で早速、婿取りの話をされてたろ。王家に後継が必要なのはわかっている。だが俺は……他の男と結婚し、そいつの子を身籠もるラナを見たくない。耐えようと思っていたが、無理なようだ」


好きだという言葉は聞けなかったが、それはカイザーの精一杯の告白だと、ラナは受け止めた。

けれどもそれは、喜ぶことのできない悲しい愛の告白で、真顔で見つめ合ったふたりは、しばし無言になる。


どんなに想い合っていても、決定的な身分の差があるから、自分たちは離れた方がいい……そんな切ない結末が訪れるかと思いきや、ラナがプッと吹き出し、お腹を抱えて笑い出したから、カイザーは面食らった。

「やきもち? その顔でセンチメンタルは似合わないよ」と楽しそうに揶揄されては、一度収めた彼の怒りが復活する。


「俺の苦しみを嘲笑うとはーー」

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